第13回 読書会レポート 2018年3月31日(土)

第13回目の博多で読書会は、7名(うち初参加4名)で開催しました。

前回の第12回と同様、ある1つのテーマを設定し、それに沿った本を紹介するという流れで開催しました。
今回のテーマは泣けるor感動した』本。
第5回目くらいの読書会の際に「本を読んで泣いたことがあるか?」という議題になり、その時に「皆さんの泣いた(感動した)本を知りたい」と話題になったのがきっかけ。

泣いた本ということで、女性参加者の方が多いかな~と思っていました。
しかしフタを開けてみると、まさかの全員男子!
性別が片っぽだけだったのは、今回が初めて。

気遣いNG一切なし(?)の男子会。
たまにはこういう会もいいですね。

 

ご紹介いただいた本①
『秘密』(文藝春秋)■東野 圭吾
私が紹介した本です。
泣ける本教えて!と言われれば、真っ先に本棚から引っ張ってくる本。
20年前に出版された小説ですが、今でも衰えることはありません。

転落事故にあった妻と娘。
幸い一命をとりとめた娘だったが、その体に宿っていたのは妻の意志でした。
神様に生かされた娘の身体と生活を守るため結託を誓った夫婦ですが、二人の距離が少しずつ離れていく模様がリアルに描かれています。

お互いを思い合っているが故に生まれる、心の距離。
このタイトルの本当の意味を最後に知った時、自分の体から魂がスーッと抜けていったような虚無感に苛まれます。

ご紹介いただいた本②
『ジェット戦闘機Me262―ドイツ空軍最後の輝き』(潮書房光人社)■渡辺 洋二
Tさんに紹介いただいた本です。
第二次世界大戦中、ドイツ空軍が開発したジェット戦闘機「Me262(メッサーシュミット)」の誕生と、その生涯を描いたノンフィクション作。

Tさんはプラモデルを作られるそうですが、ただ製作するのではなく戦闘機の全体像や歴史を知りたいということで読まれた1冊だそうです。

戦闘機はその国の歴史背景や考え方が反映されていることもあり、とても勉強になります。
日本だと有名な零戦も、開発までの道すじや実戦の歴史にも日本のカラーが色濃く反映されており、改めて日本とは何かを感じることが出来たりします。
でもどんなに優秀な戦闘機を所持していたとしても、それが実戦で活躍し、その国に有利な戦況化をもたらす、わけではないんですね。
何故ならそこには必ず”人”が携わっているからです。

知れば知るほど、知的欲求の落とし穴にハマります。

 

ご紹介いただいた本③
『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社)■伊坂 幸太郎

初参加のTさんに紹介いただいた本です。
まずこの本、タイトルが??です(笑)。
そして表紙の裏をめくって内容を読むと、更に???。
それが逆に著者っぽいタイトルってことでTさんと一致しました。

広辞苑を手に入れるため本屋を襲うという話を持ち掛けられ、巻き込まれる主人公。
設定もタイトルも意味不明なんですが、もちろん全て繋がっている伏線なんですね。

映画化もされていますが、映像よりもどちらかと言うと何度か巻き戻して味を噛み締めたい作家なので、小説がおすすめです。

ご紹介いただいた本④
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(宝島社)■七月 隆文

Kさんに紹介いただいた本です。
どこかでタイトル聞いたことあるな~と思っていたら、2016年に福士蒼汰主演で映画化されていました。

タイトルからして何か悲しい意味が込められていそうなこの本。
最初の20ページで、Kさんはこの物語の種がわかってしまったそうです。
一見するとそれって物語としてどうなの?と思ってしまいます。
しかし分かってしまったが故に、その後に続く物語の1シーン1シーンに感動が増幅したようで、マイナスにはならなかったとのこと。

意味深なタイトルの付け方、もしかしたら読み手にネタバレを少し啓発させるのが、著者の狙いだったのかもしれない。
そんな話になりました。

ご紹介いただいた本⑤
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(東洋経済新報社)■リンダ グラットン/アンドリュー スコット

初参加のMさんに紹介いただいた本です。
ビジネス本ですが、最初にゴール(定義)を設定してから物事を考えてゆくそのステップに、感動を受けたそうです。

平均寿命が延び、これからは「100年生きる」ことを前提に生き方を考えなければならない――。
これはあくまで著者の主張ですが、先がそうなるという「仮説」のもと普段の生活のあり方を変えて行くというのは、何も仮説がない状態よりも、具体的に行動の指針を立てることが出来そうです。

1つの会社に定年まで務める。
今はそんな時代ではありません。
各々がスキルを身に付け、社会や組織が無くなっても個としての磨きが求められる時代。

とても議論のし甲斐のある本でした。

ご紹介いただいた本⑥
『革命前夜』(文集文庫)■須賀 しのぶ

初参加のYさんに紹介いただいた本です。
2冊紹介してもらいましたが、特に気になったこちらの本について。
薬学部で勉強されているYさん、面白い設定の本を持ってきてくれました。

舞台はドイツ。
ベルリンの壁崩壊の頃、ピアノを学ぶため日本を離れ東ドイツへ留学する日本人留学生のお話。

設定の掛け算がとてもいいですね^^
ピアノを学ぶために来た日本人が冷戦下のドイツに行くとどうなるのか。
展開としても気になるし、ドイツの歴史も知れる。
今どきの大学生は、読む本のセンスが違うわ(しみじみ)。

ご紹介いただいた本⑦
『COCORA 自閉症を生きた少女 1 小学校 篇 』(講談社)■天咲 心良

初参加のNさんに紹介いただいた本です。
最後の最後で中々インパクトのある本が出てきました。

自閉症スペクトラム障害である著者が、自身の半生(ここでは小学校時代)を描いた自伝的小説。
そこにあるのは優しい家族や友人たちに囲まれた美談、ではなく、自身が受けた差別・イジメ・人間の汚さ。

職場と家の往復だけだと、新しい人間関係や色んな生き方をした人たちと関わることはありません。
障害を持った人たちとも同じで、その人の考え方に触れる機会は少ないように思います。

自分達の知らない世界を教えてくれる。
偉そうなことは言えませんが、すぐに気になって調べてしまった本でした。


男だけというもの、悪くないです。
NGなし、下世話な話何でも良いですよ♪
とか言ってましたが、むしろ品がありました(笑)
本の考察までしっかりされており、真面目なディスカッションにエネルギーを貰いました。

自分ならどうするか?どう思ったか?
それを考えることがとても大事だと思います。
自分の知見と照らし合わせ、持っているものは更にブラッシュアップ。
足りない部分は補う。
そしてどんどん自分自身を高めていけば、「変化」を実感できます。

話すのが苦手という方でも、一度読書会に来て色んな人と会話を交わしてみて下さい^^